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企業倫理関係

[ 企業倫理学1~3 ]
トム・L・ビーチャム、ノーマン・E・ボウイ(編著)

分野 経営 難易度 中級者向け(専修課程学生向け)
出版社 晃洋書房 発行年月 (企業倫理学1)2005年7月
(2)2001年11月
(3)2003年6月
値段 (1)3,800円+税
(2)3,400円+税
(3)3,200円+税
ISBN (1)9784771016057
(2)9784771012387
(3)9784771014350
ページ数 (1)318ページ
(2)272ページ
(3)257ページ
判の大きさ A5判

アメリカの代表的なビジネス倫理学の教科書『Ethical Theory and Business』第5版の翻訳である。原著は一冊であるが、翻訳は四分冊となっており、第四分冊は現在未刊である。

本書は典型的なリーディングス形式の教科書であり、各章は原則として編者による概説、当該領域における重要な論文、訴訟事例、ケースの四つのパートで構成されている。各冊の構成は以下のとおりとなっている。
企業倫理学1 第一章 倫理学説と企業活動 第二章 企業の社会的責任 第三章ビジネスの規制
企業倫理学2 第四章 リスクとその許容範囲 第五章 雇用者と従業員の権利と義務
企業倫理学3 第六章 雇用と差別 第七章 情報の収集、秘匿および粉飾

リーディングス形式の教科書の魅力は、何と言ってもその分野の重要な論文を一挙に読むことができる点にある。第二章には企業の責任とは利潤を増大させることだけであると喝破して議論を呼んだミルトン・フリードマンの論文や、いまや企業倫理の古典となったステイクホルダー理論の創案者エドワード・フリーマンの論文が掲載されている。その他企業倫理綱領に関するケネス・J・アローの論文や、アファーマティブ・アクションに関するトマス・ネーゲルの論文など各分野の研究に必須の論文が目白押しである。また本書は同一問題において対立する見解を提示している論文を極力併載するような形で掲載しており、問題のより深い理解に役立つようになっている。

各章の冒頭に掲載されている編者による概説も、当該章における問題の所在と各論文の概要が簡にして要を得た形でまとめられており、この概説の部分を読むだけでも企業倫理の各分野における問題についてかなりの知識と理解を得ることができる。 さらに訴訟事例が充実しているのも本書の特徴である。応用倫理の研究においては倫理的問題に関する社会通念を把握したり、判決のバックボーンとなっている倫理的価値を知るために、判例の分析は欠かせない。本書ではアメリカの企業関連裁判における代表的な判例を掲載しており、アメリカにおける企業倫理問題に関する一般的な倫理的価値基準を知ることができるだろう。

第四分冊の刊行が待たれるところだが、原著は現在第八版まで刊行されており、最新の議論に接したい方は原著を参照することをお勧めする。